最終更新日 2024年3月26日 by 1stcdoreg

企業における就業規則の作成義務は、従業員を10名以上雇用するようになれば規則の作成義務が発生し、所轄の労働基準監督署へ届出しなければならなくなります。

就業規則には絶対的記載事項が3項目定められていますが、以下の通りとなっています。

まずは労働時間に係わることで、始業、終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交代に就業させる場合における就業時転換に関する事項です。

続いてお金に関することであり、賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項となっています。

3つ目は退職に関すること、この3つについては必ず記載しなければなりません。

私は現在勤めている企業で人事部門の担当をしていたことがありました。

採用面接から採用決定の連絡、入社手続、入社時研修までを担当しましたが、特に入社時研修に於いては就業規則を実際に従業員へ手交し、その記載内容について十分に時間をかけて説明しました。

法律で記載が必須と決められた3項目については特に労基署も重要なものとして企業からの説明義務があると判断していると考え、この3点については入念に説明していた記憶があります。

従業員側から、この3項目についての説明が何もなかった等のクレームを発生させないためにも十分に時間をかけて説明を行ったのです。

労働関係法令の改正に伴い、就業規則の変更も何度か経験しましたが、勤務先では労働組合がないため、改正にあたって従業員の過半を代表する者からの意見書をもらうことが必要でした。

意見書そのものは労基署HPからダウンロードし、代表者からは「特に意見はありません」等の意見書を書いてもらいましたが、ここでも改正内容をきちんと詳細に説明し納得のうえで意見書を記載してもらうように心掛けていました。

意見書が決して表面的なものではなく、きちんと説明した、説明を受けて納得したという履歴を残す必要があると考えたからです。

粧業規則の可視化にも気を使いました。

入社時には従業員に手交しますが、自宅に持ち帰った結果紛失したり、所在がわからなくなるケースも出てきます。

不測の事態が生じた時に、会社の規則ではどうなっているか、それを確かめるための就業規則です。

PC上では全員がアクセスできる共有フォルダに保全して閲覧可能としたほか、冊子の形式で会社の各所に備付け、見える化を図ったものです。

規則の作成、運用は労基法で定められたルールですから、詳細を理解の上、後任の人事担当者にきちんと引き継いでいくことが不可欠と考えます。

就業規則の決まりと内容

就業規則は、事業所ごとに作成します。

ですから、一つの企業でいくつかの事業所を持っていれば、その事業所単位で作成しなければなりません。

これは努力規定ではなくて義務ですので、必ず作成しなければならないものです。

ただし、規模によっては作成が義務付けられていないケースもあり、事業所ごとに10人以上の従業員がいなければ必ずしも作成しなければならないわけではありません。

10人には正社員だけでなくパートやアルバイトの人も含まれますので、大半の企業は作成義務があるといえます。

パートやアルバイトを雇っている場合、正社員とは異なる条件での雇用が一般的です。

その場合には正社員とは別の規則を作成するようにします。

労働条件の違いを明確にしておかないと、後々トラブルにもなり兼ねません。

それぞれに規則をもうけたら、正社員側の就業規則に「別個の規則の適用を受ける従業員は正社員用の規則の適用を除隊すること」や「適用除外された従業員に適用される規則を別に定めること」を明記しておくことが大切です。

この辺りを明確にしておかないと、正社員用に作成されたものを準用すると解釈されてしまいます。

(参考:就業規則の作成を弁護士が解説!正社員用の絶対的記載事項や届出の方法について

作成する際には内容を考える必要がありますが、労働基準法によって記載すべき内容が決められていますので、しっかりと押さえた上で内容を考えていきます。

必ず記載しなければならない事項として、始業および終業の時刻・休憩時間・休日・休暇・交替制の場合は就業転換に関する事項、賃金の決定・計算および支払の方法・賃金の締め切りおよび支払の時期並びに昇給に関する事項、解雇事由を含む退職に関する事項があります。

これらは労働条件のベースとなる労働時間や賃金などの条件ですので、非常に重要な部分になります。

自由に定める事項には色々なものがありますが、臨時の賃金や安全や衛生に関する事項、職業訓練に関する事項、労働者の負担する食費や作業用品に関する事項、退職手当が適用される範囲や手当の計算方法および支払方法に関する事項などが一般的によく記載されます。

こうした取り決めは、企業ごとの状況を踏まえながら作成していかないと、思わぬトラブルが発生することがあります。

初めて就業規則を作成する際や変更が必要になった時にはどこに相談したら良いのか迷ってしまうことがありますが、全国にある都道府県労働局労働基準部か最寄りの労働基準監督署には相談窓口が用意されていますので活用しましょう。